社会保険労務士 表参道HRオフィス 山本純次です。
先月、ワタミの過重労働における自殺をめぐる訴訟で和解が成立し1億3千万円を支払いと、今後の再発防止を図るということが示されました。過重労働以外にも、業務外での強制など様々な要因があったとのことですが、この事件を見られた会社経営者の方で明日は我が身と思われたところも多いのではないでしょうか?
過重労働の判断として、今回の事件で月140時間以上の残業が恒常化していたとの内容が出ていましたが、この月140時間の残業を従業員が行っているという会社は実は結構な数あるのではと感覚的には思っています。
過重労働の基準としては大きく2つありますが、一つは法的絶対拘束力のあるいわゆる36協定と、健康障害等が発生しないように一定の基準を設け産業医の面談等を実施するという安全衛生法による健康障害防止基準があります。
上記の2つの基準を超えないということが企業としては遵守するラインにはなりますが、そもそも過重労働を軽減するための措置はいくつかあると思います。実際的なもの以外にも法的な対応を駆使して改善するということも可能です。
①まずはどの部署のどの時期に、どの人に対して過重労働が発生しているかを明確にする
②業務分担の見直し、人員の補充、業務の分散を図る
③1ヵ月の特定の時期のみ忙しい、もしくは1年の特定の月が忙しいという場合、変形労働時間制を導入する
④夜のミーティングが多かったり、勤務時間が日によって変わることが多い場合、フレックスタイム制を導入する
①②については、そんなこと分かっていると言われそうですが、きちんと状況を把握し分析するということは対応策を練るためにも重要です。そのうえで③④は法的にも認められた労働時間の変則型の方法です。通常の労働時間の場合、週5日、朝9時から18時、1週間40時間勤務というところが多いと思いますが、業種や業態によってはこの定型な時間制度はなじまないところが多いはずです。自社の業務時間の偏りをしっかり把握し、法的な対応をとる。また、それを従業員にきちんと説明することでより良い働き方ができると思います。
業務内容の分散や改善、人の補充などは簡単なことではないのですが、法的な対策は比較的状況さえ分かれば対応はし易いと思います。就業規則への記載や労使協定の締結、労働基準監督署への届け出等の手間はかかりますが、そこは当事務所が丁寧に説明をいたします。
ブラック企業と呼ばれないためにも、労務コンプライアンスの重要性は益々高まっています。


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