女性の活躍促進に向けた配偶者手当の在り方

<女性の活躍が求められる背景>

現在の日本では、人口の減少傾向と少子高齢化が明らかです。

そのため、就業者数も減少し労働力の需給バランスは崩れつつあります。

この需給バランスを是正するためには、高齢者層と女性の労働力化を推進する必要があります。

これまで、高齢者層の労働力化は進んできましたが、女性の労働力化はやや遅れています。

また、女性の労働力化を推進することによって、大きな経済効果も期待されます。「労働市場における男女平等が実現すれば今後20年で日本のGDPは20%近く増加する」とも言われます。〔2012年12月OECD〕

こうした背景のもと、国は経済成長の維持を目指して、女性の職業生活における活躍を推進することに力点を置くようになりました。

<女性活躍推進法の趣旨>

女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)は平成27年8月28日に国会で成立し、同年9月4日に公布・施行されました。

この法律は、働く場面で活躍したいという希望を持つすべての女性が、その個性と能力を十分に発揮できる社会の実現を目指しています。

そのために、女性の活躍推進に向けた数値目標を盛り込んだ行動計画の策定・公表や、女性の職業選択に資する情報の公表が、国・地方公共団体を含む民間企業などの事業主に義務付けられました。

ただし、事業主行動計画の策定については平成28年4月1日施行で、常時雇用する労働者が300人以下の民間企業などでは努力義務です。また、この法律は10年間の時限立法です。

<女性活躍推進法の基本原則>

女性の職業生活における活躍を推進し、豊かで活力ある社会の実現を図るために、次の基本原則が設けられました。

  • 女性に対する採用、昇進などの機会の積極的な提供及びその活用と、性別による固定的役割分担等を反映した職場慣行が及ぼす影響への配慮が行われること
  • 職業生活と家庭生活との両立を図るために必要な環境の整備により、職業生活と家庭生活との円滑かつ継続的な両立を可能にすること
  • 女性の職業生活と家庭生活との両立に関し、本人の意思が尊重されるべきこと

<日本に特有な配偶者手当>

配偶者手当とは、扶養する配偶者のいる社員に対して、基本給とは別に支給される手当です。これは、法定の手当ではなく、企業ごとの基準で支給されますから、支給額にはばらつきがありますが、扶養の基準として年収103万円以下とされることが多いようです。

配偶者手当は、高度成長期に安定した労働力を確保するために支給されるようになりました。家庭を持つ社員の生計費を補い、安心感を与える意味合いが大きいようです。

今では、終身雇用の前提が崩れていますし、年功序列から社員の役割や貢献度に応じた賃金制度に移行しています。また、欧米の企業では配偶者手当を含め家族手当はありませんから、日本に特有な手当だといえます。

こうしたことが、配偶者手当の在り方を考え直す背景にあります。

<配偶者手当の見直し>

平成28年4月11日、社会での女性の活躍を促進するため企業が支給する「配偶者手当」の在り方に関する厚生労働省の検討会は、配偶者の就業調整につながる手当は見直しが望ましいとする報告書をまとめました。

報告書は、女性の就業時間を制限する103万円、130万円の壁の存在を踏まえ、配偶者の働き方に配慮した手当の見直しを提案しています。そして、配偶者手当を廃止して基本給に組み入れたり、配偶者への支給を減額して子ども手当を増額する事例を紹介しています。

<今後の配偶者手当の在り方>

長い間、配偶者手当については、国からの働きかけがなく各企業の判断に任されてきました。そして時代背景の変化に伴い、配偶者手当を含めた家族手当の在り方が、多くの企業で見直されるようになってきました。

今回、少子高齢化に対応するため、女性活躍推進法が施行され、厚生労働省から見直しの提案が行われたことにより、配偶者手当の縮小と子ども手当の拡大がより一層進むものと思われます。

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解決社労士 柳田 恵一
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