役に立つ就業規則

就業規則」は、労働者の賃金や労働時間などの労働条件に関することや職場内の規律などについて定めた「職場のルールブック」です。

職場でのルールを定め、労働者も使用者もそれを守ることで、みんなが安心して働くことができ、労使間の無用のトラブルを防ぐことができます。

でも、自分の会社の「就業規則」をしっかり読んでいらっしゃいますか?

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ところで、本来「労働条件は、労働者と使用者が対等の立場において決定すべきものである」とされていますが、

事業主が一方的につくった「就業規則」が、一種の法律のように拘束力を持つとされているのはどうしてしょうか?

それについては、最高裁判所の有名な判例秋北バス事件(昭和43年12月15日)」で判断されました。

「労働条件を定型的に定めた就業規則は、

一種の「社会的規範」としての性質を有するだけでなく、

それが合理的な労働条件を定めているものである限り、・・・その法的規範性が認められるに至っているものということができる。」

と述べられ、通常の「法律」がそうであるように、

「労働者は、「就業規則」の存在および内容を現実に知っていると否とにかかわらず、また、これに対して個別的に同意を与えたかどうかを問わず、当然に、その適用を受けるものというべきである」

という法的性質を有しているとされました。

ですから、労働者が「就業規則」を知らないから「就業規則」に従わないというわけにはいかないですよね。

でも「就業規則」が法的規範としての性質を有し、拘束力を生じさせるためには、

その内容を労働者に「周知させる手続き」が採られていることを要する、ということが最高裁判例(平成15年10月10日)で判断されています。

「周知させる手続き」というのは、労働基準法第106条に、

1)常時各作業場の見やすい場所に掲示する、または備え付ける

2)書面で労働者に交付する

3)磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置する

と指示しています。

ですから事業主は「就業規則」を有効に活用するためには、「就業規則を周知させる手続き」を怠らないようにしないといけないことになります。

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ところで、有効な「就業規則」があると、使用者や労働者に、どんなメリットがあるのでしょうか?

いくつか例を挙げると、

1)会社のルールを、統一的、画一的に文書化することで、社内の統治や職場の秩序を保つことができ、無用なトラブルを防ぐことができます。

2)労働者にとっては、ルールが明文化されているので、使用者の思い付きや恣意的な制裁等を避けることができ、何をやるべきか、何をしてはいけないのかが明確になり、安心して働けるようになります。

3)万が一、職場内のもめ事が大きくなって裁判等になってしまった場合には、「就業規則」に書かれていることは判断基準のひとつになります。ですからもし残業命令、懲罰等について何も書いていないと、処分の根拠を失う可能性があります。

4)労使ともにしっかり「就業規則」を守り、コンプライアンス意識が向上し、労働者の健康や権利を守りながら働かせる使用者の意識が浸透することになれば、労働者の会社に対する信頼感が高まり、職場の士気が向上すると思います。さらに会社に対する信頼は、社内のみならず社外の人まで影響するかもしれません。

5)賃金、賞与、退職金、賞罰、お見舞い等の処遇の基準が明確になり、労働者の公平性が保たれます。

6)個別に労働条件を契約するのに比べて、包括的同意により労働者を管理でき、労務管理の時間やコストが抑制できます。

7)助成金を申請をする際に「特定の就業規則の規定」があることが条件になる場合があり、申請がしやすくなります。

つくるのに多少の手間はかかりますが、職場にとって役立つことが多いと思います。

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常時10人以上の労働者を使用する事業場では、「就業規則」を作成して、労働基準監督署に届け出ることが義務づけられています。(労働基準法89条)

もし、まだ「就業規則」をつくっていない事業主の方、現在の法律に適応していない「就業規則」のままにしている事業主の方、現在の社内のルールに合わなくなった「就業規則」のままの事業主の方などがいらっしゃれば、

是非、現在の法律、現在の会社のルールにあった「就業規則」につくり直して、役立つ「就業規則」にしたら如何でしょうか。

そしてさらに、その中に事業主ご自身の「社是」「社訓」「経営理念」なども入れておつくりになったら、事業主の「会社に対する思い」を反映させた、会社独自の立派な「就業規則」になると思いますよ。

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坂部 雅人

坂部 雅人

代表 社会保険労務士さかべ社会保険労務士事務所
1959年、埼玉県生まれ 北海道大学で、細菌の酵素について研究した理系人間です。 日本たばこ産業株式会社(JT)で、研究職、管理職を長く経験した後、 社会保険労務士になった「へんてこ社労士」です。 「人」と「人」の問題を解決するには、それぞれのお話にしっかり耳を傾けることが、まず第一歩だと考えています。

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