退職金が減る!?日銀の金融政策の退職金への影響

 日銀は、9月21日の金融政策決定会合において、これまでの量重視から金利重視の政策へと内容を変更しました。

特に長期金利は、政策金利(短期金利)に引きずられマイナス金利となっていた点を修正し、ゼロ%程度に誘導する方法がとられることとなりました。

 この政策変更は、企業年金にどのような影響をあたえるのでしょうか?

 格付け投資情報センター(R&I)によると主要年金基金の運用資産のうち国内債券が占める比率は時価ベースで35%となっています。

この中には、社債などのほかに多くの国債が含まれており、マイナス金利導入後、苦しい資産運用を行わなければいけない状態が続きました。

今回の長期金利ゼロ%誘導においても、企業年金の資産運用は決してよい環境になったとはいえず、引き続き利回りの低い運用を強いられることとなります。

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 ここで気になるのは、各企業年金の資産状況です。国債のように利益を上げていない運用が含まれていると、企業年金の積み立て不足が問題となる可能性があります。

積み立て不足を解消するために、各企業は企業年金に追加の出資を求められることとなります。

もし、会社が出資不可能な財務状況であれば、社員が受け取る年金(退職金)の削減を行わなければならない事態にもなりかねません。

この積み立て不足の問題は、じわじわと問題化されます。これを放置しておくと、将来、従業員に退職金を払う時になって「こんなに多額の追加拠出が必要になるとは。。。」ということになってしまいます。

 このような事態を回避するためにもぜひ必要なのが、現状の退職金の状況をきちんと把握しておくことです。社員の個人別の退職金額および企業年金の積立額を比較し、いくら不足しているのかを計算することが必要です。

その上でどのような積み立て方法を選択し、積み立て不足を解消すればよいのかということを考える必要があるのです。

 また、会社の努力にも関わらず、積み立て不足が解消できないという場合には、従業員の年金(退職金)を削減する検討をしなければなりません。

その際には、企業年金の状況、会社の財務状況等の説明を従業員に対して十分行い、従業員の合意を取り付ける必要があります。

長年働いてきた従業員と退職金の件でもめるのはぜひとも避けたいことですよね。会社は誠意を持って事に当る必要があります。

複合グラフ(一例)

 さて、日銀の政策に話を戻してみます。日銀によれば、これらの金利政策は、消費者物価指数が2%を超えた後も、安定的に2%維持できるまで継続するとのことです。

現状では、出口(政策の転換)が見えない政策となってしまっています。

円安、株高、企業収益の好転、昇給・ベースアップの実行、期待物価上昇率の醸成、景気好転という流れをうまく作り出していけるのか黒田日銀の手腕が期待されています。

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