所定労働日数がわからないのはブラック企業の証しです

所定労働日数とは

「所定」とは「あらかじめ決められている」という意味です。

そして、所定労働日数は、使用者と労働者との合意によって決まります。

企業は「就業規則」か、個人ごとに交付する「労働契約書」「雇用契約書」「労働条件通知書」「雇い入れ通知書」といった書面で、労働者に所定労働日数を示します。これを示さないのは労働基準法違反であり、ブラック企業ということになります。

また、所定労働日数を決めていなければ、労働者に示すこともできないのですから、ブラック企業が確定します。

実際、所定労働日数が不確定だと次のような不都合があります。

年次有給休暇の付与

労働基準法では、年次有給休暇の付与日数が、勤続年数と1週あたりの所定労働日数で決められています。

また、出勤率8割以上が付与の条件ですが、この出勤率は所定労働日数の何割出勤したかという数字ですから、所定労働日数が決まっていなければ計算できません。

結局、所定労働日数がわからない企業は、年次有給休暇のことを考えていないのでしょう。

社会保険の加入基準

平成28年10月1日から、短時間労働者の社会保険加入基準が変更です。これについては、社会保険加入者(被保険者)が500人を超える企業での加入拡大ばかりが話題になっています。

しかし、すべての企業に共通の変更点として、従来は勤務の実態を加味した加入基準であったのが、1週あたりの所定労働時間が基準の1つになっているということがあります。

ここで、「1週あたりの所定労働時間」というのは、

「1日あたりの所定労働時間」×「1週あたりの所定労働日数」

で計算されますから、所定労働日数が決まっていなければ計算できません。

結局、所定労働日数がわからない企業は、社会保険加入のことを考えていないのでしょう。

残業代の計算

月給制の場合、残業代を計算するには、1時間あたりの単価を計算する必要があります。

ここで、「1時間あたりの単価」というのは、

「月給」÷(「1日あたりの所定労働時間」×「1か月あたりの所定労働日数」)

で計算されます。

法定時間外労働や法定休日労働であれば、これをベースに割増賃金を計算することになります。

しかし、所定労働日数が決まっていなければ計算できません。

結局、所定労働日数がわからない企業は、残業代の支払いを考えていないのでしょう。

欠勤控除の計算

欠勤や遅刻早退があっても、その分の給与を減らさない「完全月給制」というしくみもあります。これは取締役に近い立場の人には妥当かもしれません。

しかし、遅刻しても給与が減らないのなら、毎日定時に仕事を始める人との間に不公平が発生してしまいます。やがて、遅刻者が増えるのではないでしょうか。

月給制の場合、欠勤控除を計算するのにも、1時間あたりの単価を計算する必要があります。計算方法は、残業代の計算の場合と同じです。

結局、所定労働日数がわからない企業は、欠勤控除ができないでしょう。

「所定」ということばの再確認

「所定」労働日数は、「あらかじめ決められている」労働日数ですから、カレンダーを見ながら毎月決めるのではなく、就業規則などにあらかじめ決められています。

これが毎月変動すると、月給制の場合には1時間あたりの単価も変動してしまいます。そして、従業員の間で不平等や不公平が発生してしまいます。

なぜなら、残業や休日出勤の1時間あたりの単価が月によって変動するならば、何月に残業するかによって、同じ時間の残業でも残業代が違ってくるからです。

賢い従業員は、1時間あたりの単価が高い月に残業しようとして、仕事をためておくかもしれません。年次有給休暇を取得するなら、仕事の少ない月ではなく、単価の高い月がお得になります。

やはり、月の大小にかかわらず、一定の日数に固定すべきでしょう。

なお、1か月の所定労働日数を超えて出勤しても休日出勤になるとは限りませんし、1か月の出勤日数が所定労働日数より少なくても欠勤になるとは限りません。残業、休日出勤、欠勤の計算は、1日単位と1週間単位で計算するのが基本だからです。

ブラック企業はどうしたらよいか

「うちはブラックでいこう!」という方針の企業はあるのでしょうか。

むしろ、ブラック企業というのは「正しくはどうすればよいのか」「何が正しいのか」を確認して改善する気力がない企業だと思います。

従業員からも「おかしい」という声があり、パワハラやセクハラのようなことが行われていても、それを確認する気力がないのです。

しかし、解決するのは簡単です。社労士(社会保険労務士)に確認させればよいのです。所定労働日数だけでなく、「何がおかしいのか」がわかれば、問題は半分解決したようなものです。

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解決社労士 柳田 恵一
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