その人事異動 大丈夫?

桜の開花も始まったこの季節。

人事異動の季節でもあります。

今回は、人事異動についての基礎知識についてお話していこうと思います。

言葉の違いを確認していきます

まずは、言葉の意味を確認していきます。

配置転換(配転)

 同じ企業の中で、人事異動により、従業員の勤務場所や職務を変えること

転勤

 配置転換(配転)のうち、異なった事業所への配転のこと。

出向

 元の企業の従業員としての地位を維持したまま、他の企業で、その指揮・命令を受けて働くこと。

ですから、ある企業Aで働いている「あなた」が、B支店への職場異動を命じられた場合は「転勤」です。

B支店ではなく、下請け会社であるXへの異動を命じられたら、「出向」ということになります。(この場合、あなたの立場は、Aの従業員のままです。)

Aの中で、総務部から営業部に異動になった場合は、「配置転換(配転)」ということです。

転籍

これと似て非なるものに、「転籍」があります。

転籍

 企業との現在の労働契約を終わりにして、新たに、他企業との間で労働契約を結び、その企業の業務に従事すること。

(字面だけで見たら、フツーの「転職」ですよね)

先ほどの例でいうと、下請け会社であるXへの異動の際、Aとの労働契約を解除して、完全にXの従業員となることが「転籍」となります。

この「転籍」を行うためには、従業員との「個別の同意」が必要です。

たとえ就業規則に「転籍を命ずることができる」規定があったとしても、「個別の同意」がなければ、転籍させることはできません。

では、「配置転換(配転)」「転勤」「出向」を命じるために必要なことは?

それは、就業規則に明記しておくこと。

個別の同意は必要ありません

配置転換も制限されます

ただし、勤務地や職種限定の社員の場合、限定された範囲を超えての異動はできません。

また、育児介護休業法26条によって、育児または介護を行っている労働者に対しては、状況に応じた配慮が必要です。

更に、「権利濫用」となるような異動もできません。

権利濫用と判断されれば、その人事異動は無効となります。

権利濫用となる場合

「権利濫用」となるかどうかの判断基準は、次のようなものです。

(1) 異動の必要性

ただし、企業経営上 絶対に異動が必要だという程の「必要性」は、求められません。

ですから、定期の人事異動などでも、必要性は認められます。

(2) 人員選択の合理性

(3) 不当な動機・目的か否か

例えば、労働組合の弱体化のために、組合幹部を子会社へ出向させるなどというのが、「不当な動機・目的」となります。

退職強要のための「嫌がらせ」のための異動なども、この「不当な動機・目的」となります。

(4) 通常甘受すべき程度を著しく超えるような不利益を負わせるか否か

例えば、異動により賃金を大幅に減額されるだとか、両親や子供の介護・看護が必要な労働者を異動させる場合などに、「無効」となる可能性があります。

この問題は、「(4) 不利益の程度」と「(1) 異動の必要性」との関係にも関わっていきます。

不利益の程度が大きければ大きい程、異動の必要性も高度なものが求められます。

(5) その他、特段の事情の有無

以上、(1)~(5)を総合的に判断して、異動が「有効」か「無効」なのか判断されます。

また、「出向」については、あらかじめ、出向先での労働条件や処遇、出向期間などを定めておかなければ、出向命令の法的根拠を欠く(無効)とされています。

人事異動は経営戦略の1つ

人事異動にもルールがあります。

裁量権として、何でもかんでも許されるというわけではありません。

しっかりとルールに則った人事異動を行っていきましょう。

人事異動も経営戦略の1つです。

御社の業績向上将来の発展にしっかりと寄与できるような、戦略的で効果的な人事異動を心がけてください。

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社会保険労務士事務所いいだ
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