従業員による企業秘密流出を防止するための就業規則など

企業秘密保護の必要性

ライバル会社との競争が激しくなり、商品やサービスに高度な差別化を求められる時代となっています。

そして、企業の個性である独自の技術やノウハウを企業秘密として保護しなければなりません。

その一方で、企業秘密が流出しやすい環境になっています。

終身雇用制は崩れて転職が盛んになっていますし、正社員ではない非正規社員が企業秘密に触れる機会も増えています。

ところが、一部の大企業を除き情報セキュリティ対策は、十分に行われていません。

少なくとも、企業秘密の社外流出を防止する仕組みを構築する必要があるでしょう。

一般に行われている対策

就業規則の中に、従業員の守秘義務についての規定を置いている会社は多いのですが、残念ながらその大半は不十分な内容だと思われます。

なぜなら、秘密の範囲も、禁止される行為もあいまいで、退職者への効力も疑わしいからです。

これは、新人に書かせている誓約書や念書についても同様です。

不正競争防止法による保護

不正競争防止法の目的は、「事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与すること」とされています。〔不正競争防止法1条〕

そしてこの法律には、企業の「営業秘密」を保護する規定もありますが、これは次のように定義されます。

「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。〔不正競争防止法2条6項〕

つまり、この法律で保護されるためには、次の3つの要件を満たしている必要があります。

・秘密として管理されていること

・生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上または営業上の情報であること

・公然と知られていないこと

営業秘密管理指針

上の3つのうち、「秘密として管理されていること」については、経済産業省が「営業秘密管理指針」を出しています。(平成27年1月28日全面改訂)

この中で、「その情報を客観的に秘密として管理していると認識できる状態にあること」が必要であるとされています。

そして、その具体的な条件として、情報にアクセスできる者を特定すること、情報にアクセスした者が、それが秘密であると認識できることの2つを挙げています。

実際には、誰がその情報にアクセスできるかが不明確であったり、誰が見ても秘密であることが明らかとは言えなかったりします。

これでは、不正競争防止法の保護を受けられないわけです。

保護される企業秘密であるためには、施錠したキャビネットに保管し鍵の管理を厳密にするとか、パソコンのデータならアクセス制限をかけるなどが必要ですし、昔ながらのマル秘の判子を捺しておくなど秘密であることの明示が必要なのです。

就業規則などによる企業秘密保護

以上のように保護される秘密の範囲を明確にしたうえで、就業規則、念書、誓約書には、次の2つを明示します。

・それぞれの従業員の立場に応じた秘密保持の対象

・秘密保持の具体的な内容

まず、新入社員と役職者では接する企業秘密の範囲が異なりますから、立場に応じて変更していく必要があります。

役職が変更になった場合だけでなく、その他の人事異動があった場合や、プロジェクトチームに参加するなどの場合には、新たに念書、誓約書、秘密保持契約書が必要となります。

退職予定者に対しては、秘密保持に併せて競業避止についても規定が必要となるでしょう。

また、守秘義務の内容についても、「機密を漏洩しない」といった抽象的な表現ではなく、「口外しない」「コピーしない」「社外に持ち出さない」というような具体的な規定が必要です。

ここも社労士(社会保険労務士)の出番

以上のような厳密な対策をとっていれば、たとえ不正競争防止法による保護の対象とならない場合であっても、労働契約上の守秘義務違反として保護されうることになります。

自社の状況に応じて、具体的に何をどうすべきか迷ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

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解決社労士 柳田 恵一
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