懲戒処分にする可能性を考えた口頭注意のあり方を考える

遅刻常習犯への減給処分

ある社員が月2回のペースで遅刻を繰り返し、その都度、上司に呼ばれ注意を受けていました。

半年余りが経過し、人事部門でも毎度毎度の遅刻が問題視され、やがて減給処分が行われます。

周囲の社員たちが「減給処分は当然だ」「処分するのが遅すぎる」「あの程度の減給では処分が軽すぎるのでは」と感想を述べています。

あっせん期日の通知

ある日、労働局から代表取締役宛に「あっせん期日の通知」が届きます。

あの遅刻社員が、会社に対し減給処分の無効を主張し、さらには、精神的苦痛をこうむったとして慰謝料の支払いを求め、労働局にあっせんの申請をしたのです。

上司は「あいつ、何を考えてるんだろう」とあきれます。

資料の準備

会社は、ある特定社労士を代理人に選任します。

委任を受けた特定社労士は、まず、関係者から話を聞き、その事実を裏付ける証拠書類を確認していきます。

就業規則とタイムカードから、遅刻の事実は明らかです。

何月何日に何分遅刻したかを示す一覧表を作成することになりました。

ところが、遅刻について上司から繰り返し注意したことの証拠がありません。

遅刻の当日に毎回、上司から口頭での注意があったことは、みんなが知っている事実です。

しかし、社員は会社側の味方をして当然ですから、その証言は有効な証拠とはなり難いのです。

特定社労士の説明

適正な懲戒処分は、口頭注意をしても改善が見られないときに、文書による注意を行い、それでも改善されないなら懲戒処分を行うという流れになります。

そして、あっせん、労働審判、訴訟などでは、証拠に基づき事実が認定されます。

上司が口頭注意を行った場合には、後日の争いに備えて、その日時や内容を具体的に記した報告書を作成し、これに社長や取締役までの署名を得ておきます。

これを遅刻する社員に確認させ署名してもらいます。

この報告書のコピーをその社員に渡し、会社が原本を保管します。

今回は、こうした準備が無かったため、あっせんでは会社が大幅な譲歩を迫られるでしょう。

なにしろ、事実の認定は「何も指導をしないまま、いきなり懲戒処分を行った」ということになるわけですから。

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解決社労士 柳田 恵一
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